日本語では、数字の9は、く「苦」につながるということで、必ずしも好まれる数字ではないような気がする。
しかし、中国語で9は、jiu「久」と声調と発音が同じなので、永遠のイメージになるし、個人的には10ではない9が好き。あえて、喜んで、9に関連のある物を買ったこともある。
最近、日航機墜落事件の追悼番組を見ていて、あっ、と思った。
お亡くなりになった坂本九(きゅう)さんの本名が大島九(ヒサシ)さんであることを知った。九番目の子供だから、九で、久しい(ひさしい)の「久」の音読みが「きゅう」だから、九と書いて、ヒサシ、と読む。日本語でも中国語でも9は永遠をも意味するんだ。
お盆の前から後にかけての期間に不思議なモノゴトとの出会いと気づきがあった。
たまたま近所の元ダイエーだったイオンの未来書店のワゴンで売っていた千円ぐらいのDVDを物色していたら、オードリー・ヘップバーンの「若妻物語(Young Wive‘s Tale)」という作品があった。最初見た時は、若草物語なのかと思ったが。
日本未公開のイギリス映画。ローマの休日の1年前の作品。めっちゃモノクロ作品だけれど、戦後すぐのロンドンの住宅事情、時代背景が垣間見られて、原作は舞台だったようで、それっぽくて面白いコメディーだった。カルチャーとして、子供と夫婦の関係とか家政婦さんとか、子供部屋にあるものが、すでにIKEAっぽかったりするのも面白い。
しかし、オードリー・ヘップバーンは、2人いる主役の若妻(Young Wive)の1人ではなく、ちょい役ではないけれど、タイピストをしている独身の若い同居人に過ぎないので、DVDの表示には偽りがあるというか、オードリー・ヘップバーンの、にしておけば、誰か買うやろ!みたいな姑息さがある。まんまと買わされちゃったから、それは戦略的に成功したのかも。
この作品が面白いのは、オードリー・ヘップバーンの声質と話し方のアクセント(ブリティッシュな抑揚)の付け方、台詞回しが、ローマの休日のそれとそっくりで、ローマの床屋(?)で、オードリー・ヘップバーンの扮する王女様がヘアカットしてもらった後のヘアスタイルそっくりの髪型である点。
主役じゃないけれど、このYoung Wives’s Taleに出ていたオードリー・ヘップバーンが、脱走して街に迷い込んじゃう王女様のイメージにぴったりで良かったから、抜擢されたんでしょうねえ。
見た目以上に、声、話し方って、その人を特徴づけるものなんだなあ、って、あらためて思った。
話は変わり、お盆と言えば、盆踊り。
たまたま行って良かったから、神戸港、メリケンパークで開催される盆踊りに行くことにした。民謡のお姉さんお兄さんの歌唱が上手い。生唄、生演奏。櫓の上で、婦人会の皆様が踊りの見本を見せてくれるから、知らない民謡でも、見よう見まねで、踊りの輪に入っていける。聴いて見ているだけでも楽しい。
比較的、海風が涼しいし、先祖が徒歩数分の栄町通りに住んでいたし、戦火で死にはしなかったけれど、家は焼けたし、戦中戦後、色々と苦労したに違いないし。お盆の本来の意味においても合致している。
現地に着いた時には、東京音頭が始まっていて、おはら節(鹿児島)、デカンショ節(兵庫県篠山)、ドンパン節(秋田県だっけ?)、炭坑節(福岡県)っと、なかなかのラインアップだった。
粋だし、東京音頭は好き。神宮で、阪神ーヤクルト戦を見て、阪神が勝って、六甲おろし、が、東京音頭をかき消す様を味わってみたい。巨人戦よりもヤクルト戦がいいな。
デカンショ節って、どんな歌詞でどんな歌だったっけ?と色んなバージョンを聞こうと検索して驚いた。越路吹雪さんとか、坂本九さんも歌っている。
坂本九さんの、声質、民謡から、子供の歌、ナンセンスソング、コミックソング、歌謡曲、ジャズの日本語歌唱、歌のジャンルと歌唱力と表現力の幅広さとレベルの高さに驚いた。
上を向いて歩こう、って、歌詞の意味として、どこが「SUKIYAKI」なの?と理屈っぽく思ったし、日本語の歌詞がやせ我慢というか、自虐的に思えて、さほどに好きじゃなかったし、なぜこの曲がビルボード1位になったんかいな?と不思議だったんだけれど、他の歌を聴いていたら、理由がわかってきた。
アメリカ人は日本語の意味に感動したわけじゃない。
坂本九さんの声と、日本語離れした母音の揺らぎというか、ぉうぉうぉうぉう、と、日本語の一音節の「お」に複数回、音が連打されているから、音響的に、明るく、ファンキーで、良い声で良いメロディー。ビング・クロスビーよりうまいかもしれない。うまいと思う。ビッグバンドが似合う声。
坂本九さん、昔の小学生が歌って踊る、YMCAの夏のキャンプの定番ナンセンスソング、いまだに意味わかんない、「クイカイマニマニ」を歌ってる。ポリネシアン(あたりの)民謡だと勝手に思っていたけれど、ペルーのケチュア語の歌であるらしい。
九ちゃんの炭坑節、のアレンジが最高。ブラジルの皆さん、聴こえてますかぁ?このラテンアレンジで歌うのには、めっちゃ歌唱力が要る。
マツケンサンバを超える。ディズニーの白雪姫の🎶ハイホー!みたいな、炭鉱。一酸化炭素を吹き飛ばしそうな明るさ。
コンピュータで、色々な音が打ち込めるし、ラップとかアニソンとか、ボーカロイド的に高速だし、音楽って、難易度が上がってて、進化しているとも思うけど、歌唱という分野においては、歌唱を彩るアレンジという意味では、昔の作品の方が表現力が豊かで突飛だったような気がする。
坂本九さんには、長く生きて、21世紀にも活躍していて欲しかった。本当に残念だ(涙)。
2025年に音源が残っていて、アップルミュージックで聴けて、本当に良かった。永遠に聴き続けますよ。ありがとう、大好き。