月曜日, 3月 25, 2024

He turned back and noticed…

 大谷翔平の、通訳兼マネージャーのような、何でも屋さんのような、キャッチボールメイトでもあった水原一平氏の7億円弱を違法賭博にぶっ込んで、負け続け、脅されたかどうかは知らないけれど、溶かしちゃった件は、デーブインパクトすぎる。

私、最初は国際会議の事務局秘書(バイトなんだが)とか、その後、通訳という肩書きの場合もあるし、研修コーディネーターという肩書きだったり、したわけだが、思い返せば、試験を受けて、なぜか採用されて、色々な分野の日英ー英日通訳をする羽目にはなった。ブログラム作成、スケジュール調整、旅費精算、時には病院同行、旅行&見学アテンドもやる。朝早いし、家から遠いし、という仕事もあったなあ。

原稿が入らないのが普通、現場で想定外の対応をさせられることの連続でもあったし、事前の準備はハード。怖いから、何パターンも展開を予想して用語とか資料を読み込んだり、通訳業務は人前で晒されるから、プレッシャーが半端なくて、他人にはわからないでありましょうが、孤独な努力はしました。通訳さんは、誰でも水面下で必死の準備をしていると思う。なんだかんだで恥をかきたくない、その一心で。

水原通訳の不祥事の件は、やはりドキっとするし、金額が桁違いすぎちゃって、信じられないけれど、彼も極限状態に追い込まれちゃっていたのかな?煮詰まってしまう何かがあったのかなあ?と思わないこともない。

私の場合、優秀でもないし、20歳代、30歳代、40歳代と、通訳の分野において、今から思えば、仕事の選り好みをしたことがないが故に、通訳をする相手が毎回変わるので、人間関係において煮詰まらなかった点は良かったかもしれない。

私の場合だけかもしれないけれど、通訳をする相手と、脳が同期してしまうような感じになるので、あまりにも品性がイマイチな方の通訳はしたくない。できれば。内容以上に、相手の品性のなさで自分がやられていくような嫌な瞬間がたまにあった。(あまりにも馬鹿で、内容のない人とか、エリートのような経験談を披露しつつ、横柄で、実際の判断とか対応が間違っている方など。)

漫画家の鳥山明先生が、自らが創作したキャラクターが多すぎて、主要ではないキャラクターの姿を覚えていない、忘れないと次のキャラが作れないらしいのと共通しているのかもしれないけれど、通訳内容はどんどん忘れていくので、守秘義務云々以前に、何も内容を覚えていないのでバラしようもない。そういえば、色々な分野の通訳をやった。ざっくりとした分野は覚えていたり、それすら忘れてしまったり。医療系色々、土木系色々、生産現場、装置系色々、海外買い付け同行、海外国際会議の次回案内同行、国際陳情系同行、広義の半導体関連、電力系、原発に2回は行った気がする、生化学系、流通系、法律系。

理系でもないし、専門家じゃないのにな。あれもこれも、やりたいと手を挙げたわけでもないのに。

その中で、広義のプロ野球関連も1回だけやったことがある。

国際親善試合のレセプション通訳。

それぞれの球団さんに専属の通訳さんがいらっしゃるはずなのに、急に、なんで私がやる羽目になるのでしょうか?私で良いのでしょうか?他にいらっしゃらないんでしょうか?と聞いたところ、個人個人のプレーヤーの通訳さんだから、野球関連の専門で、全体のレセプションはできないというか、どのチームの方がするかでもモメちゃうからじゃないですか?みたいな経緯だったような気がする。

フル原稿があったので、それを英語にすればいいだけなので、想定外部分は少なくて、声のトーン明るめに声を張り気味に、露出なく、舞台袖からやれ!みたいなお仕事だったのだが、

監督さんのスピーチの原稿がなかった。ドラフト会議の日だったから、遅れて来られた。

それは最初からわかっていたので、どのようなお話の展開になるのか、不必要に幅広く準備したような気はする。多分。

で、監督さんがポケットからスピーチ原稿を出されて、スピーチを開始されるのかな、と斜め後ろのポジションで覚悟を決めていたら、

彼が、後ろにいる私の方をチラッと振り向いて、理解された。無言だったけれど(アナタには原稿が渡ってないんですね、すみません、大丈夫ですか?というようなアイコンタクトを送って来られた気がした。)私は黙って、始めてください、と、うなづいた気がする。

内容は覚えてないけれど、通訳がやりにくいことはなかったはず。細かいことを覚えていれば、ベストではないでしょうけれど、多分、問題なく終わったような気がする。

偉い方ですし、私の方を振り返って確認されなくてもいいんです。

しかし、トータルのパフォーマンスを最適化するための、トップとしての責任感というか、危機管理能力がすごい。自己中じゃダメだと思っていらっしゃる。360度周りを把握することが、日頃から身についていらっしゃるんだと思った。

お仕事上、誰に対しても、謙虚で紳士的、そういう態度で、日々生きていらっしゃるに違いないと思った。

バッターとしても、監督としても大変凄い人。

仮に、道が違って、サラリーマンになられても、中間管理職でも経営者であっても、ちゃんと結果を出されて、ちゃんとこなされるんじゃないかな、という気がした。