この世には、目を背けちゃいけないけど、背けたくなる問題や嘘や、私などには手に負えない不確実性ばかり。
大伴旅人の人生における代表作は、
世の中は空しきものと知る時し いよよますます悲しかりけり
かもしれないのに、
彼が、一躍、梅花の宴のホストとして持ち上げられた、令和元年の初日に
食べた「茶叶蛋」の味が、お茶のフレーバーが感じられず、醤油味ではなくて、塩味が強めで、八角の香りが強く思えたから、自分で作ってみようと思った。(もう一度、そこでも食べてみなくっちゃ。)
「茶叶蛋」なのに、お茶の存在を感じられなかったからかなあ。味と匂いに関しては、微妙なタッチの違いが時々気になってしまう。良いとか悪いではなくて、そこにある嗜好の違いというのは、理屈よりも大事な気がする。そういうものは、徐々に均質化していったり、パクチーがブームになったように、受け入れられない人を取り残して、受け入れられる人たちで盛り上がっていくものかもしれない。
A国の人が作ったA国料理よりも、B国の人が作ったA国料理の方が、よりオーセンティックな場合もないとは言えないし、茶葉とスパイスの相互作用のようなものを確かめてみたくなったのだと思う。
「茶叶蛋」には、茶葉よりも、八角と桂皮が大事なんだとおっしゃる方もいたのだが、自作してみての中間的な結論は、
①台湾の茶葉蛋用のお茶パック+ミックススパイスで箱に書いてあるレシピ通りに作ると、(私の味覚において)大変美味しい「茶叶蛋」ができる。
②混合スパイスのみを少量煮出して、豚肉の炒め煮に加えてみたのだが、茶葉がないと、スパイスの香りがダイレクトに強く出る。
③「茶叶蛋」は、濃い発酵が強めの茶葉のエキスによって、スパイスの臭みのようなものが抑えられるので、(私には)美味しいのではないか。茶葉は必要である。
④紹興酒は入れた方がいいような気がする。
⑤気のせいかもしれないが、中国の黄色いサトウキビを搾って結晶化させた氷砂糖を入れると味が優しくて深みがある。
⑥混合スパイスは、たまたま八角が控えめでフェンネルシードが良い仕事をしているのかもしれない。
⑦骨付き豚バラを煮る際にも、混合スパイスの煮出し汁と「茶叶蛋」の汁を入れてみたが、豚バラの脂っぽさに茶葉のエキスはあう。脂っぽさを中和してくれて、非常に美味しくできた。(私が好きな味になった。)
「茶叶蛋」は、中国全土で食べられているものなのかどうかはわからないし、中国全土で発酵茶が飲まれているわけでもなく、緑茶で作るところもあるのかもしれない。色々な味付けのバリエーションがあるんだろう。
色々と食べ比べてみると面白そうだ。
卵の黄身を半熟に作ることもできそうだし、色々と試してみると面白いかも。
録画していた、ゴッホ 最期の手紙 を見た。
ストーリーは、ノンフィクションで、役者さんが演じた実写動画をゴッホの絵のタッチの手描きのアニメに置き換える、凄すぎるアニメーションだった。総勢100人超えで絵を手描きして、6万カットとは。
人の噂、伝聞、評判は、あてにならない。実際に、その人物なり現物を観て感じて判断することが大事。わかる人にしかわからないなら、そういう時は、私はわからない、と言わなければならない。
授業中に私が描いた水彩画の鳥の絵のバックに黄色と藤色の絵の具に水を混ぜずにゴッホの絵のようなタッチで勝手に塗り始めた小学校の担任の先生がいたことを思い出した。
本当は、子供の私の絵だから、勝手に描き足したらいけないと思うけど、反感などなく、その意外な色彩の美しさに私は感動したのだと思う。その場面を覚えているぐらいだから。