金曜日, 3月 01, 2019

Queen

前から見たいとは思っていたのだけれど、オリビア・コールマンのアカデミー賞の主演女優賞の即興的なスピーチがよかったから、The Favourite (女王陛下のお気に入り)を観てみた。

面白かった。

オリビア・コールマンの実年齢が意外にも若い、45歳なのに、エキセントリックな老醜のようなものが出せるところに演技力を感じる。

スピーチでは、めっちゃ気さくで、なんとなく市原悦子さん演じる家政婦さんを明るくしたようなコメディエンヌ風な感じが良かった。
深緑色のドレスのデザイン、フロントがシンプルで、後ろに大きいリボンがあって、トレーンになっているところが良かった。平素は極めて普通の人なんだけれど、クイーンの役をやっちゃいました、って感じのドレスのバランス感覚が良かった。

The Favourite は、英国王室の大奥的な世界、お気に入り、と言うよりも、寵愛争奪戦。

オンナを操ろうとするのは、オトコの政治。
オンナを駆り立てるのは、自分自身の意地と名誉だけれど、そのいきつくところは退廃的なデカダンス。

史実はそうではなかったのかもしれないけれど、この映画はそんな世界。

実際に、アン女王は、17回も妊娠して、流産だったり死産だったり、生まれた子供が短命だったり、誰も子供が成人しなかったとは、気の毒な人生だ。体質的な原因があるのだろう。そもそもが美しい人であったとしても、17回も世継ぎのために頑張って、身も心もボロボロになってしまっただろう。

女王は孤独だ。
立場上、色々な人が取り入ってくるけど、忠誠は見せかけで影で笑われているんだと思った時、

欲しいと思うのは、歯が浮くようなほめコトバなのか、キツイ真実の一言なのか、肉体にしみいる快感なのか、痛みを取り除く手当てなのか。

庶民だって、誰だって、足や脚を揉んでもらったら、気持ちよいもんなあ、ちゃんと脚を揉んでくれる人のことは、好きになっちゃうもんね。そこに反応しちゃうなんて、私も老化したのかしらねえ、と思いながら観た。

仮にそれが純粋な愛や忠誠ではない利己的な目的であることは見え見えでも、お付きのものが女王の寵愛を求めて争う様を見るのは、女王にとっては刺激的なのかも。

エマ・ストーンは、素よりも、劇中の方がより美しい。受賞式ではゴリゴリにメイクしてるから、劇中の方が素肌美かも。
レイチェル・ワイズは、女王役のオリビア・コールマンよりも実年齢が上という点にも驚いた。

2人は助演というよりも、主演が3人いるみたいな迫力だった。

イタリアンエロスの巨匠の映画みたいに、チャプターごとに挿入されるキャプションが良かった。なんだかシャレている。ちょっとグロいところもあるけれど、サラっとしてる。もう一度レンタルDVDで見たい。

ボヘミアンラプソディーのラミ・マレックの主演男優賞のスピーチも良かった。この人は、見た目が似ている以上に、頭がいいし、勘がいいから、キャスティングされたんだろうと思った。

スピーチ原稿などを見ることがなくて、内容が自然体で心を打つ。彼はエジプト移民だったのか。

奢らず高ぶりすぎず、Queenに、フレディー・マーキュリーに、リスペクトがあって、正しいinterpretationをした人、潮来(イタコ)のようにフレディーの霊を自らの肉体を使って語らせた人。

リアルタイムに熱狂的なQueenのファンの方々には、違和感とかご不満もあるに違いないけれど。