日曜日, 4月 19, 2009

Slumdog$Millionaire

アカデミー賞を取った《スラムドッグ$ミリオネア》を見ました。
良かったですよ。

原作本からは、ストーリーも人物設定もクイズの設問も変わっていますが、子役俳優の生き生きとした演技力というか、身体能力の高さと利発さと可愛らしさに感動します。お約束のボリウッドダンスのフィナーレがあります。子供を食い物にする大人、子供を利用して子供を組織させる大人、子供を食い物にする子供が、やがて大人のボスになる。人からの哀れみを買ったり、不具であることが、より金になることを知っている大人と大勢の子供。恐ろしい限りだけれど、日本にだって、作られた虚像として、モロ肉体パーツとして、稼がせ、使い捨てるビジネスがないとは言えない。

どのような逆境にいても、この世には、真人間でいられる人間と悪の親玉か鉄砲玉か奴隷に落ちてしまう人間と2種類いる。いかなる境遇でも、愛する人がいる人間は生き延びられそう。絶対とは言えないけれど。

原作本を読むと、学校教育ではなくて、「人が必然的に学習したり体得する」とはどういうことかがよくわかって面白かったし、社会の不条理を淡々と伝える哲学的な内容だったんですが、映画では、映像のスピード感がありすぎるし、場面の変換が激しいので、どうしても少年の知的な成長の部分が促成栽培的。そしてラブロマンスになっています。クイズの問題があって、なぜ、それに正解できたのか、という波乱万丈の体験が展開していくという構成は同じ。

原作本に出てくるクイズ番組は、ビリオネア。W3B: Who Will Win the Billion?
1ルピーは2円ぐらい(?)のようなので、
100万ルピーで200万円。
10億ルピーで20億円。どちらにせよ、インドでは超大金。(私にとってもですけどね。)

宝くじに大当たりした人は幸せになれないことが多いと聞きますが、主人公の人生は、どうなるのか? 原作本のエピローグは希望の匂いがする内容になっている。続編は英国資本じゃなくてインド資本でできればいいかもしれない。

原作本の方が、より波乱万丈で、ちゃんと正義が勝つ!というハッピーストーリーなんですけどねえ。インドに対する偏見がそうさせるのか、暴力的、肉体改造的な人権抑圧の現状や、善意の外圧がそうさせるのか、この映画を原作よりもグロなものにしているような気もする。
文章よりも映像が生々しいから、そう思えるのかも。原作は叡智の物語。

映画の中には、インドのチャイも出てきまして、美味しそうだなあと思いながら見ました。一度、行ってみたい国です。PETボトルのミルクティーよりも、断然コクがありそうで、本格的???だから。インドに行くと真の貧しさと真の豊かさを擬似体感できるのではないかという期待があります。観光客は、お気楽な存在ですわね。ビジネスとなると大変でしょう。