水曜日, 9月 24, 2008

★The Universal Japan?

映画『おくりびと』を観た。
良い映画だと思った。

モントリオール国際映画賞をとる前から観たいと思っていた。
観た後の感想としては、国際的な賞を狙って作っているというか、受賞の可能性を抹殺しないように作っているなあと思った。普遍的で合理的な様式美(伝統的な所作って、茶道を含めて合理的だと思うので)を表現していると思うし、細かいところにマルチな宗教への配慮があると感じた。(台詞にも映像にも音楽にも食にも配慮がある気がした。全ての人が納得しないかもしれないけれど。)

山村美紗の『赤い霊柩車シリーズ』とかも好きだし、人の旅立ちのお手伝いの仕事は、人生の縮図が見えるし、不謹慎な言い方だけれど、面白いに違いないと思う。

御遺体は、色々な意味で重い。しかし死人は襲って来ないし、痛がらないし、苦痛を訴えないし、大人しい。 養老孟司が言っていたと思うけれど、まさしく自然というか、天然というか、人工物じゃない。(インプラントは別として。)人間嫌いな人にも対峙できる。

しかし、お金が取れないあの世への旅立ちのお手伝いの方が、より重労働だし、壮絶だ。葬儀屋さんとの間の報酬(労働の対価)の交渉はどうするんだろうなあ。この世の最後は互助会というか、お金持ちは華々しい葬儀を行って葬儀屋さんにボラれる義務があるのかもしれません。そのボラれた分を身寄りのない方の旅立ちに回さないと、世の中、成り立たないのかも。(そういう映画でないんですが、ふと思いました。)

しかし、映画では触れられなかった亡くなる手前の状態、ターミナルケアの危機と欠乏が現代における最大の恐怖であり、この世における地獄の沙汰だろうと思う。国民皆保険の崩壊は、あの世に向かう前の長い地獄の入り口。

演技派の役者さんばっかりでよかった。広末涼子ちゃんは、手首と腕が細くて、いいわ。どこにでもいそうでいていない美しい人だと思う。

暗いテーマを扱っているけど、元気になる映画でもある。

私が弔われるなら、もっとエコな方法がいいな。ピザを焼くように、私の肉体だけを焼いて頂きたい。棺おけはリユースといいますか、使い回しでいいですわ。

ボっ!っと点火音だけが流れ、こっそり釜の手前で棺桶のフタが開き、遠隔操作のロボットアームで遺体を出して、棺桶が退出。ロボットアームで遺体の死に装束が取り除かれて、装束退出。双方裏口から回収→自動洗浄→乾燥→再利用。
同時に釜の中の本点火開始→御遺体だけが灰になるとか。

焼き場の建設コストとランニングコストがかかるなら、棺桶を一番安くて簡素で燃やしても有害物質がでないものにしていただければ。