1月28日(土)神奈川県横浜市で開催された『医療通訳セミナー・医療通訳を考える全国会議2006』に参加した。
『医療通訳』と言いましても、色々ありますから、分類してから、議論をする必要があるように思いましたけれど、目の前に病気や怪我で困っている人がいれば、助けるのが先決であって、中々、全体を鳥瞰して議論を整理できるものではないとも思います。
■患者さん、健常者、研修・研究者
主に、①日本語を解さない外国人の患者さんと医療従事者とのコミュニケーションを媒介する通訳。
②日本語を解さない外国人で、病気ではない(だろう)けれど、予防接種とか、定期健康診断を受ける人向けの通訳も、医療通訳の一分野。
③日本語を解さない外国人医療従事者が日本で研修を受ける時の通訳も医療通訳と言えなくもない。
■外国人の患者さんが、旅行者か、中期滞在者、長期滞在者、永住者かによっても、必要な通訳者のタイプは異なる。
■外国人の患者さんの日本語能力によっても通訳者に求められる内容は異なる。(難しい日本語→平易な日本語の通訳ってのもある)
■外国人の患者さんが、急性期の病気なのか、慢性期の病気なのか。
■外国人の患者さんの母語によっても、当然、通訳は異なる。
■外国人の患者さんの疾患のタイプによっても、通訳のあるべき配置は異なる。(HIV等であれば、感染を知られたくないことが多いので、通訳者は、身内ではなく、毎回同じ人がベターかもしれない。毎回通訳が異なると、結果として、より多くの人間が感染の事実を知ってしまうから。)
■何よりも大きいファクターは外国人の患者さんの支払い能力。不法滞在等の場合、健康保険未加入でありますから。疾患や治療に関する通訳だけではなく、保険の有無や支払いに関しても通訳をする必要が出てくる。
医療分野の通訳全般は非常に難しい。
言語を運用・変換する能力+知識+総合的な人間力がいる。
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JIJIちゃんは、在日の外国籍の人が、既に2%を越えている日本の現状を考えると、日本語を解さない外国人のための医療通訳は、徹底的に不足していて、ますます必要になっていると認識していますが、社会的な必要性の認識が低いように思っていました。
多くの優秀な心ある人達が、必要性をヒシと認識して、活動されていることに感銘を受けました。
この分野の通訳には、財源を捻出しにくいですし、通訳者の生活の糧にはなりにくい。非常に高度なスキルと人間性とタフネスが必要な分野です。一人では現実が重過ぎて、処理できないことも多い。
通訳の養成や多言語コーバス研究により多言語辞書データベースを構築する等々の社会的な投資をしなければ、病院にいかない外国人が増えたり、結核等がアウトブレークしたり、医療機関が重篤な外国人患者さんの治療がスムーズに出来ず現場が混乱したり、人道面でも、社会秩序の面でも、多くの問題が発生して、より高コストなツケを払うことになると思います。
色々考えさせられることが多すぎます。
世の中には偉い人(ボランティアや医師等)が多いと関心もする。外国人労働者を襲う労働災害の悲惨さ(ローラーに巻きこまれる等)には、同じ人間として、大きな憤りを感じます。医療もコトバの壁をなくすことも大事ですが、できるだけ、医療機関にかからなくてもいいように、労働環境を安全なものにする努力をする方が先決かもしれないとも思いました。
とにもかくにも、医療通訳は、誰の為の通訳か、どのような内容の通訳かについて、ちゃんと分類して、通訳のあるべき姿を認識することから始めないといけないのではないか、と感じました。
■このような儲からない・私利私欲を越えた分野に関心を持つ人達は、すばらしく好人物でありまして、頭が下がります。
■本日、1月29日は、『春節』、チャイニーズ・ハリラヤ(英語+マレー語で、中国人のお里帰り?)、中国の御正月
横浜の中華街をウロウロしました。昼一の飛行機で福岡に帰ったので、午後に予定されていた獅子舞(?)とかは見れなかったけれど、薬膳粥を食べたり、タピオカミルクティーを飲んだり、肉まんをたべたり、お菓子を買い込んだり、色々しました。
神戸の南京町と比べて、横浜の中華街は少々ボッているかも。単価が高いように思いました。
御土産に買ったフォーチュンクッキーで遊ぶのが楽しみ。
最近の中華菓子はお砂糖控え目で、月餅もミニサイズのものもあり、洗練されてますネ。