邦題:HERE 時を超えて、を観た。
超大作でも話題作でもないようだが、個人的には、大好きな映画になった。
トム・ハンクス主演映画の中で、一番好きだなあ。フォレスト・ガンプよりもずっと面白い。
HERE、ある場所、ある横長腰高のカーブを描くフレンチウインドウのあるリビング、の、定点撮影という設定。ジュラ紀か白亜紀か知らないけれど、恐竜が跋扈する時代から始まる。人の男女の家族の、出会い(愛)と別れ(他界)が地層のように重層的に描かれる。
色々な伏線があって、後々に伏線が回収される。
一定の画角がおしゃれ。
時代を前後する画面割りがおしゃれ。
既視感もあるフレンチウインドウ。
住む人によって、時代によって、人生のステージにおいて変わる、家具とか家具のレイアウトが面白い。
私の中にある、土地とか建物に対するロマンとか思いに近しい感じがする。
ストーリーテラーがいるわけじゃないけど、落語の高座のような世界観。
1人の人間の生存期間よりも長い長い土地(地面、土壌)と共にある歴史。そういうものが好きだから。舞台はアメリカ大陸某所だけど、例として、地形でいえば、香里園あたりとか、縄文あたりも想像させられる。地形は違うけど。
人類が出現して、最初にいた動物と最後に出てきた動物が同じで、面白かった。
私自身が、この世からいづれ消えてしまうことを、すんなり受け入れられる、殊更に希望を叫ばないところがいい感じ。
ずっとずっと居間のフレンチウインドウに向かう画角なのに、最後の最後になって、画角がターンするところとか、極めてオシャレで面白い映画だった。
Very tastefully directed!!!!
時代と家族の人種などの属性によって異なる処世術。生きるために必要なのは、気合いでも、パワーでもない。殺されないための野生の習得。
黒人のパパがその息子に向けた愛、警察に疑われないための所作指導が心に残る。
主演以外の家族の場面もかなり面白いので、何度も見返したい作品。
人の人生の、命の想定外は、あるあるなのです。
私は、世界最大のとか、業界初とか、〇〇初上陸とか、質と寿命が全くわかんない、特定の人間の、青息吐息なのに、腕力自慢100%宣伝には一切踊らない。
人間の力だけで、短期間でできたもん程にヤバいもんはないわ、人間の叡智自慢を嗅ぐと、怯んじゃう、そういうタイプの野生しかないわ〜。
ご安全にと祈る。
世の中に人間の叡智自慢の赤字を回避したい波動はヒシヒシと感じるから、この作品は大ヒットしないでしょうけどね。
中国の人も、この映画は好きだろうな、そんな気がする。人によるかなあ?