土曜日, 1月 04, 2025

人混みの中の素(そ)に学ぶ

 ふるさとの 訛り懐かし 

停車場の 人混みの中に そを聴きに行く

by 石川啄木

中学だったか高校だったか覚えてないけれど、現代国語の教科書にあった、この短歌が印象的だった。

地元じゃない所での社会人生活などによって、永遠に分かり合えなかったり、説明するのも無駄かなという諦めとか、極度の孤独、アウェーで理不尽な環境に耐え忍んだり、そのような時期が、いつか必ず私の人生にあるんだと覚悟した。(ネガティブなことにポジティブな性格。)

明るい希望の歌じゃないけれど、なるほどなあ、そうなるよなあ、泣けるなあ、と思った。

関西弁は関西弁を話す人とでないと、単独では話せないし、(明石家さんまじゃないし)標準語アクセントに近い言葉で話す。

言葉で人格が変わる。生い立ちの違い、文化的な違い、風土の違い、自慢されっぱなしの土地土地の学歴とか人脈とかがあるので、余所者は、どう反応すべきかなあと思いつつ、拝聴する側みたいな感じにはなる。アウェーは、地味に、そこそこきつかった。

今になって思うと、ふるさとにずっと居ることの方が閉塞感があるかも。固定の周りの人間の好奇心とか噂話のネタとか毒気を浴びせかけられがち。

どっちもどっちだなあ。

今になって、孤独って、案外いいなって思っている。

私は私だ、と思っていたら生きていけないんじゃないか?という若い時の、漠然とした、時に死活問題になる、不安から解放される年代になったからかも。この年になって私にガツガツ寄ってくる人って、ほぼほぼ悪人か変人だから、面倒臭いだけだから。

しかし、特に、お正月時期に、街ナカや初詣など、人がいる場所に、ちょっと出歩くのは好きだ。自ずと「素(そ)」が聞こえてくる。

たまたま面白かったのは、某参道を歩いていた時に聞こえてきた、関西以外で就職した若者なのかなあ?の会話。

地元の友達に、関西弁以外のタメ口の言い方がわからない。(から、人と仲良くなれない)

というような悩みを語っていて、

友達が、それやったら、令和ロマン、の漫才を見たらええねん、と言っていた。

なるほどねえ。地元以外の人とのコミュ力を上げたいと思う子も偉いし、友達の回答もすごいなあ、と感心した。

令和ロマンの漫才、私も見てみようと思った。

電車に四人家族さんが座っていた。

お正月に、冬季講習を受講されている小学生ぐらいのお子さんがお二人。お母さんがドリルを見ながら、選択問題を読み上げられ、お子さんが答えていた。

お子さんの正答率は高いと、もれ聞こえる音声で思ったけれど、それに正解できて、お受験に成功したらいいけれど。

その選択問題に正答することに意味ある?問題そのものに深みがあるかな?お正月のエンタメや行事をスルーしてまで、のめり込んで、長い人生を生き抜く力になるのだろうか?という老婆心がないわけではなかったな。

日本のお正月の行事に意味があるかと言われると、それもそうだし、グローバルに見れば、太陰暦のお正月の方がメジャーなんだが。

1月2日の夕方から梅キタに行き、阪急梅田本店のショーウインドウの活花を堪能し、バルチカに行き飲み食いをし、人のほとんどいないグラングリーンを襲われたらどうなる?と思いつつ歩き、帰ろうと思ったら、新阪急ホテルが1月4日までとの垂れ幕が目に入り、ラストチャンスで初めてのお茶をした。

で、思ったこと。

①嵯峨御流の活花は素晴らしかったが、ショーウインドウという性格上、巳年のヘビはリアルに表現しにくいのかな?と思った。辰(龍)ならやりやすいけれど。ウサギがいた。

②バルチカ03はお店によっては穴場。しかし、歩ける時間があって歩くのが好きな人でないと行かないのではないか?という懸念も。

③開いている飲食店は、お正月でも、お正月価格ではなくて、平常運転。中国の方が接客してくれて、彼らの日本語がイマイチわかんなかったけれど、QRコード読み取りでスマホで注文するから問題なく、ロボットが持ってきてくれた。

④梅田の新阪急ホテルで飲食をしたことがなかったのだが、閉店を知って、行ってみた、ロビーの喫茶の紅茶がやたら美味しかった。ケーキがなかったから選んだコーヒー善哉なるものが美味しくて、自作しようと思った。なぜ今まで行かなかったんだろうか?悔やまれる。

⑤喫茶のケーキが売り切れていたので、1月3日の午後に再訪したら、既に売り切れていた。地下の有名なオリンピア(ビュッフェ)は予約で満席。席が空いていたから、高かったけれど食べてみた、フレンチ&中華のお店(Mon selectモンスレー)のフィナーレランチコースが劇的に美味しかった。高齢化社会において、高齢者がお金を出す家族の会食にピッタリ、老若男女がいい感じに集えるハイクラスなメニューだし。最後だから、特に力(りき)が入っていたのかもしれないが、最後に出てきたポテトのスイーツの繊細さがなんとも言えない美味しさだった。凝った前菜がフレンチ、スープがチャイニーズ、お魚がフレンチ、お肉がチャイニーズと、交互に出てきて、軽くて、適度にお味がしっかりしていて、パンが温かくて美味しかった。完璧な状態で出てきた。

お店はなくなってしまうとのことだが、ガチフレンチ(だけ)よりも、現代的な洗練だと思ったんだが。

千里阪急ホテルもなくなってしまうし…。

お櫃のご飯はあるうちに、食べに行かなくては。