狐假虎威 hu2 jia4 hu3 we1i (the fox borrowing the majesty of the tiger)
日本語で言うところの『虎の威を借る狐』。
中国語の成語(四文字熟語)が日本語との関連において、面白いなあと思うのは、
①(発音と漢字の字体は日本風に変わるにしても)そのままの四文字熟語として日本語化する。
②噛み砕いて日本語訳をした内容が諺やフレーズとして定着している。
③日本語に全く存在しない 。(多分あるはず。)
の3つのパターンがあるところ。(どうでもいいことかもしれませんが。)
狐假虎威はパターン②ですね。(どうでもいいことかもしれませんが。)
なぜか?なぜそのままの四文字熟語のまま日本語にならなかったのか?
假(jia3又は4)が日本語にない漢字だからかな。
しかし、假(jia3又は4)は中国語の中では、高頻度に幅広い意味で使われる
日本語で言うと(仮、偽、嘘、暇)の意味がありそうだし、品詞も名詞、動詞、形容詞、接続詞と多義にわたる。
日本語の『半信半疑』に該当しそうな中国語は、
半信半疑 ban4 xin4 ban4 yi2 (half-believe, half-doubt)
そのまんま。しかし、次のようなものもある。
半真半假 ban4 zhen1 ban4 jia3 (half-true, half-false)
半分ホントで半分嘘。嘘かホントかわからない。 これは日本語にはない四文字熟語で假の文字がある。
結論:はやり假(入り)は日本語化しにくい。 (多分)
=狐假虎威 hu2 jia4 hu3 we1iのお話=
狐が虎に捕まり、まさに食べられそうになった時、狐は虎にうそぶいた。
俺様を食べることはできないぞ。俺様は天の神様から拝命された百獣の王なるぞ。
俺様を食べることは、即ち天の神様への反逆ぞよ。
虎は信じない。
そこで、狐はさらに話し続ける。
では、俺様が先を歩くので、後からついてきて、俺様の力を確認してみてはどうだ。
獣たちは俺様を見て、恐れをなして逃げ出すであろうよ。
虎はそれは良い提案だと、狐の後について歩きだした。出くわす獣たちは、狐の言う通り、全て恐れをなして逃げて行った。
獣たちは、後ろを歩いている虎が恐ろしくて逃げたのに、虎はそれが自分の力ではなくて、狐のカリスマであると信じ込んだ。狐の思うつぼ。
このように、力のある人の勢力を利用して、他人を威嚇するズル賢い(せこい)人間を『虎の威を借る狐』と言う。
これはずるい狐の話でもあるけれど、虎はアホである(だまされやすい)という意味かもしれない。
世の中は、人間関係は、もたれ合いでもあるし、目立ちたがりやさんもいる。だから、真の、よってたつべき、権力の根源は案外見えていないものかも。
虎の威を借る狐でいる間に真の実力が身につくか、突然豹変するかもしれない。豹変はあるのに、虎変はない(ような気がする)。
豹にあって、虎にない、なぜか?言葉の謎は尽きない。