今更というか、ちょっと遅いんですけれど、野口悠紀雄著 『超』税金学講座 知っているようで知らない消費税 を読んだ。
消費税に関しては、何となく少しは学んだような、それも忘れてしまったような、なんですが、この本により、ある長年の疑問が晴れて、嬉しい。
JIJIちゃんは、日本で3%の消費税が導入された時は、イギリスにいて、当時のイギリスの付加価値税(VAT)の標準税率は15%だったんじゃないかと思います。商品代金の15%ってのは、かなり大きい比率だと思うのです。
足のサイズが22センチの私がリーボックの靴を買った時に、私のサイズだけ妙に値段が安かったで、ラッキーと思いました。しかし、ヨクヨク考えると22センチ(英国サイズは忘れました)の靴は子供サイズなので、非課税なのです。子供仕様だからという理由に加えて、15%の税金分が安くなっている。(国家の政策として、感動しましたね。子供を大事にしているという意味において。)
イギリスは、当時15%(現在は17%)の税率なんだし、日本人は、何故3%ごときで反対するのだろうか?と不思議でならなかったのです。また、フーリガンの国(?)のイギリス人は、なぜ15%の税率を受け入れたのだろうか?逆進的な税なのに...?と思っておりました。
住宅等の間口の幅によって課税する外形標準課税とか、消費に課税する付加価値税(消費税)であれば、所得税と異なりプライバシーに踏み込まれることがないというのがその理由なのかと納得しました。(今頃遅いんですが。)
英国の場合は、
関税とVATは、関税及び間接税庁が徴税。
所得税は、内国歳入庁が徴税。
ですから、VAT(付加価値税・消費税)を透明に納税しても、所得というプライバシー(?)は、それ(VAT)によっては、あまり捕そくされない。
しかし、日本の場合は、消費税の納税によって、所得が明確になってしまい、納税先も国税庁1本なので、日本の企業は、所得をあいまいにするために、消費税に反対するという側面も。(消費者やお客さんのためではなく、自らのために。)私は、所得は正確に捕そくされるべきだと思いますけれど。逆にモノが売れない場合、消費税分を商品価格に上乗せしないで売っているケースもあるだろうし、計算上の仕入れ率(売り上げの80%を仕入れ代金とみなす)よりも実際の仕入れ率の方が高い場合(90%とか)も、ないとは言えないかな。(それなら簡易課税を選択しなければいいのか。)
実際は、計算上の見なし仕入れ率80%よりも実際の仕入れ率が50%である場合に、その差30%の超過見なし仕入れ率分の消費税1.5%相当は、小売業者の手元に残る=益税、が問題。
単純に消費税率の違いではなくて、日本の消費税のしくみは、欧州(中国とも)の消費税のしくみとは異なる。日本は、正しい売り上げや仕入れがわかるインボイス方式を導入しなかったのは、制度上の失敗だと思うなあ。
インボイス方式でないが故に、医療等以外の品目、サービスが単一税率になり、高い標準税率を導入しにくい。(逆進性を緩和する方策が多分ない。)
子供服や子供の養育に関わる物品やサービスには、ゼロ税率適用は、インボイスがないとできない。消費税という、税を、日々支払っている(最終的に事業者によって正しく納税されたかどうかは別として)国民に対して、子供の子育てを支援しますよ!とか子供は大事です!という、国のメッセージが伝えられないというのは、残念なことだと思う。
口だけで少子化対策と言うよりも、子供に関する消費が無税であることの方が、明確に少子化策をしていることになる!(のにね)。