食べてみて、匂いを嗅いでみて、見てみて、時には音を聴いてみて、温度を感じてみて、美味しいと感じるのは、個々人において、絶対的な部分もあるだろうけれど、相対的というか、美味しさの受容体の感度を慣らされたり、高濃度の味を麻薬的に投与されていって、エスカレートすることもある。
塩味、甘味、旨味、脂味、美味しさであっても、次々と高みを知ってしまうのは、幸せなようで、どこまでいっても満足できず、不幸せと金銭的な浪費につながるくたびれ儲けかもしれない。
ふとしたきっかけから、YouTubeでたまたま観た、英国王室の元料理人さんが、ダイアナ元妃のリクエストで作ったらしい、オレンジ果汁ベースのOvernight-Oats(オーバーナイトオーツ)を見て、私も作ってみて、その上品なおいしさにハマってしまった。
私が初めてオートミールなるものを知ったのは、20歳の頃で、米国のカリフォルニアにホームステイした時だったと思う。
冬だったから、オートミールが温かくて、温かい牛乳をかけて、バナナも入れたのかもしれない。頑張れば食べられけど、牛乳は飲めるけど、どろっとニュチュっとしたノリ食感がイマイチだなあと思った。私はヨーグルト&バナナにさせて頂いたように思う。牛乳は嫌いじゃないけれど、オートミールはなし。
それ以来、オートミールは砕いて、揚げ物の衣にしたり、クッキーなどの焼き菓子に混ぜたり、カリカリっとする方向性では使っている。
ダイアナ元妃のオーバーナイトオーツ、彼女がご存命中は、オーバーナイトオーツという呼び方はしなかったらしいけれど、(ミューズリーかな?)先に、オートミールにオレンジジュースをしみこませて、冷蔵庫に一晩保管して、朝ごはんの直前にギリシャヨーグルトとあえて、リンゴ、レーズン、レモンジュース、ブルーベリー、クルミなどとあわせて、ハニーを少々かける。リンゴの食感とジューシーさも良い仕事をしていると思う。
さらっとしていて、上品味。
色々な果汁や果物で試してみた。ギリシャヨーグルトでなくても、普通のプレーンヨーグルトで作って美味しい。私は、レーズンではなくて、ラムレーズンを混ぜている。(レーズンはすべてラムレーズンにしちゃっているから。)
ゆっくり咀嚼して食べる。オレンジ果汁等が美味しいので、ゆっくり噛んでいられて、お腹いっぱいになる。腹持ちも良い。
しかし、オーバーナイトオーツ&フルーツだけでは、最初は、もの足らないのかも、と思い、塩味の今までも好きな、クラッカー的なビスケット少々とか洋菓子屋さんのマドレーヌを半分だけとかをお皿に添えておいて、オーバーナイトオーツを食べてから、食べてみると、意外な味覚、味の感じ方の変化があった。
塩味(しおあじ)とか甘さがシャープに、しつこく感じるようになった。
比較的ナチュラルで添加物が少ないものを選んでいるけれど、クラッカー的なビスケットの表面の塩が舌を刺すというか、塩味(しおあじ)を強く感じた。味が濃い。
マドレーヌの甘味もテクスチャーも重い。
味が変わる不思議。
塩味(しおあじ)とか甘味は、相対的で、直前に食べたものの味に慣らされて、味覚がそれを基準として、評価するようになるのかも。
天然の果汁もフルーツもドライフルーツも、複合的な味で、甘味は噛んでいるうちにジワジワと出てくるし、お砂糖をほとんど入れてないので、いきなり甘さが舌の味蕾を刺激することはない。舌が、口腔内で、甘さとはそのような微妙なものである、という感度調整がなされているんじゃないかな?
我ながら、びっくりした。
最近食べた、大阪にある、女子に人気で行列のできる台湾の豆花のお店の煮小豆が無糖で、それがかき氷にかかっていて、豆としては美味しいんだけれど、甘くなかったことに衝撃を受けたんだが、今食べたら、それをかなり美味しいと感じるかもしれない。
甘いミルクシロップはかかっていたので。
オーバーナイトオーツに無糖ゆで小豆をトッピングして、はちみつをかける、ってのもいいかもしれない。黄な粉とか豆乳とか黒蜜とかも。なんでもありだ。
結論として、飛躍するようだが、人はささやかな、低刺激な快楽を浴びつつけた方が、幸福でいられるのではないか?という気がしている。今更ながらに。
美味しいもの、旨味がコテコテのものを求める、求め続ける、Foodieとかグルメであることは、満足レベルが上方にバグってくるというか、案外不幸なことなのかもしれない。
添加物、油脂、塩、甘味料だらけの、ファーストインパクトがガツンとくるジャンクフードは当然基本NGだが。