日曜日, 8月 31, 2025

鼎沸人生 (ding fei ren sheng)

 犬も歩けば棒に当たる、って、どういうこと?ワンちゃんですら、徘徊すれば、何らかのいいことに巡り合うようなニュアンスだと思うけれど、なぜ棒なの?なぜ棒に当たるの?棒につまづく?棒で殴られる?

万能な如意棒に出くわして、元気をもらう。(かもしれない。)

私が出歩くと、結果として、思いがけない発見があり、笑っちゃうような思いがけないオチに出くわす。そこから、さらに、どうでもいいような考察が始まる。

大阪の方の日本橋(ニッポンバシ)にある国立文楽劇場で開催された第6回大阪落語祭、立秋大吉寄席、に行った。

実際には、私が予約した時間の噺家さんはわかっていて、とても期待して予約したわけだけれど、その落語祭りが全部で何日間あって、各々の時間帯にどういう噺家さんが出られるのかは知らなかった。なかなか気合の入った一連の落語の祭りであるということを、劇場に行ってから知った。

私自身に落語通というほどの見識もないし、常に展開の流れに身を任せている。誰よりも誰が好きとかそういう感覚も持ってない。新作落語以外は何度か聴いたことがある演目だったので、大体のオチはわかっているはずなんだけれど、次にこうくるよ、ってのがわからない状態で引き込まれていて、ある程度、かなりの部分の筋は忘れている。(先のことは思い煩わない。私自身が純粋にアホなんかもしれないが。)

噺家さんによって、やっぱり、当然、違うという認識はある。個性、性格、人間性が出るし、ご本人の部分のブレンド比率が違って面白い。まくらと本編の境目、繋がっていてもいいし、伏線回収ができていてもいいし、ただの掴みでもいい。常にソロ活ライブだから、常に毎回ユニークな想像&創造世界が広がるのが面白い。

日本語の落語で楽しませてもらえるってのは、高度に受信側の日本語力の世界だとも思うのだが、大阪の日本橋は、もはや日本ではないことも実感する。

暑い暑い昼下がり、黒門市場が目の前にある、文楽劇場を出たら、即、中国の東北地方の中華料理屋さん(ガチ寄りの中華屋さん)があった。この際、どれだけガチ中華系のお店が増えたのか見てみようということで、さらに歩を進めると、女子に大人気であるらしい「麻辣湯(マーラータン)」の店があった。

そこは(ガチ)中華系のお店のようだ。やったー!人生初の麻辣湯が体験できるぞ!っと。

中国人のお姉さんが正直でいい感じの子だった。

豆苗とか青梗菜とか野菜もいっぱいあった。キノコも色々。今回はスルーしたけれど、アヒルの血を固めたものもあった。豆腐がーん(干)、もある。本格的。練り物関係も色々あって、ちくわもあった。

お姉さんに、ちくわ、を指差して、これって、中国の?日本の?って聞いたら、日本の、って教えてくれて、じゃあ、別のにしようかな、と言うと、中国でも、具材として、ちくわ、があるとのことだった。

麺は、野菜の粉末がまぶしてあるインスタント麺(サリ麺みたいなもの)もあるけど、ストレートな太麺、さつまいも澱粉っぽい平麺もあった。お姉さんイチオシのそれら麺をチョイス。両方とも、コシがあって、おいしかった。

スープはパイタンっぽい。豚骨みたいにドロっとコッテリしてなくて、ハウスのうまかっちゃんのスープみたいな感じ+辛味(2辛)。辛さなしも可能だし、味変用の調味料コーナーもある。

ちなみに、ハウスのうまかっちゃん、みたいなスープは、良い意味。スープの味を貶しているわけではない。日本にいる中国人の味覚、好みも色々。四川の出身ちゃうのに、四川の四川料理も好き、辛いのは好きだけど、比較的豚骨くさくない一蘭でも豚骨くさい、ハウスのうまかっちゃん、の方が美味しい!と真顔で言った中国人がいたぐらいだから。

適当に、あまり考えずに具材と麺を選んで入れて、結果的に千六百円ぐらいだった。それぞれの具材の煮え具合も満足。他のお店との比較はできてないけれど、また同じ店でいいや。

重量課金だから、野菜、キノコ多めの方が、安くなるかも。

おそらく、ある中国人の経営のお店で、追い飯、ご飯のおかわりのことを、替玉、って書いてあったけど、なるほど、ご飯の方が替玉やん!玉に近いやん!と思った。

麻辣湯に、追い飯したい。あるといいな。冷えててもOKラー!

お店の奥に暖簾のようなものがあって、「鼎沸人生」という文字が目についた。

熱々人生?鍋がぐつぐつする人生?麻辣湯って感じだなあ。

また、お姉さんに聞いてみる、什么意义?どういう意味?

お姉さんはちょい困っていた。意思イース、ではなく、意义イーイーって聞いたから?難しく考えてくれたのかも。

沸騰するみたいな…

人生が熱いの?エキサイティング?

それもあるけれど、うーん、いい意味だけでもない的なことを言いたげだった。

ChatGPT先生によると、鼎(かなえ)の中で湯がぐらぐらと沸き立つような、熱気とか混乱とか騒動をさすらしい。うるさい、うざい、怒号飛び交うカオス。闇鍋(麻辣湯)のように熱くもあり、波瀾万丈で、混沌として、浮き沈みのある人生。

猛暑、酷暑、沸騰。ニューノーマルな暑さにもピッタリ。

その麻辣湯屋さんができる前、その店の場所は、何屋さんだったのか知らないけれど、帰り際に麻辣湯屋さんの入口(出口)の足元に玄関マットのようなものがあり、

HAKUNA MATATA

心配なしさ

とプリントしてあった。

スワヒリ語+ちょっと怪しい日本語やないかーい!ライオンキングなんかーい!そこは中国語とちゃうんかーい!

しかし、それは、一体誰の思いなんだろうか?国籍を超えた、みんなの思い?憂いの裏返し?やはり異文化?

現在の日本橋が、日本のA地点と日本のB地点他だけを繋いでいるわけではない。それは確か。