子供の頃を含めて粉のインスタントコーヒーを飲むという習慣がなかった。(違いがわかる人間はインスタントは飲まんやろ!と、CMにはそいういうツッコミを入れている家だった。)そんなに頻回に淹れたわけじゃないけれど、子供の頃の団地住まいの我が家には、なぜかワクワクするサイフォンがあった。
小さい時の朝ご飯は、各種トーストパンとミルクティーという生活だった。
脳が覚醒する飲み物として、ブラックコーヒーは中学生あたりから良く飲んでいた。家ではドリップが多かったと思う。外では、英会話学校にあるカフェスペースで、喫茶店コーヒー的なものを週2回は飲んでいた。一杯いくらだったのだろうか?中央にチョコレートが流し込んであるビスケットが1枚付いてきた。LLのリスニングテストの前に(タバコを)一服するみたいな感じで、コーヒーを飲んで静かに、覚悟を決めるというか、気合いを入れていたはず。
コーヒーって、お酒と違って、脳を覚醒するタイプの飲み物だから、自らの精神状態とか、頑張りとか、焦りとか、リスクとか、乗り越えるべき壁とか、そういうものとワンセットになっていたような懐かしさがある。もちろん、具体的な状況は忘れてしまっていて、すべての一杯一杯が記憶にあるわけではないんだが。
1991年に私達が福岡県に引っ越してきた時、福岡っていい街かも?と思ったのは、のだ珈琲が美味しくて、クリームが氷で冷やせる器にのったホイップクリームだったことだ。2025年も同じスタイル。そういう感じで出てくるので、いつもはブラックコーヒーなんだけれど、のだ珈琲の場合は、クリームをコーヒーに浮かべてしまう。アンチョビのサンドイッチも美味しい。博多駅前の朝日ビルののだ珈琲が好き。先日、久々に行ったら、日替わりコーヒー(ブレンドじゃないやつ)のお値段が900円になっていて驚いた。昔、そんなにしたっけな?価値はあると思うけれど。
1991年からいつまであったのかはわからないけれど、天神イムズの1階にウィーンオーパーラーという本格的なウィーン風のカフェがあった。メランジェにチョコレートのタブレットを入れて飲むコーヒーが好きだった。ロイヤルホテルのダイヤモンドルームみたいな作りで明るくてよかったのになあ。後にも先にも、あのようなカフェは関西にもないので、なくなってしまって残念だ。
2025年、天神ビッグバンなる建て替えプロジェクトで完成した、元福ビル、ONE福岡ビルのRECコーヒーに行ってみた。
流行っているし、PC作業もしやすそうだし、いい感じなんだけれど…。
コーヒーも美味しいけれど、紙かプラカップだし、私の好きなタイガーはないし、台湾。東京、福岡市内も支店がたくさんできたから、お菓子もセントラルキッチンから持ってきた感じになっていて、スタバとあんまり変わらないじゃん?という風情だった。
キッチンカーだった時代は知らないけれど、お店で、デロンギのコンベクションオーブンで焼いていた焼き菓子が美味しかったから、私もデロンギのコンベクションオーブンを買ったし、お店で聴き珈琲のイベントがあったりして、楽しかったのになあ。昔からあるお店に行けば、状況は違うのかもしれない。
ラーメン屋さんも同様なんだけれど、規模を拡大したり、人気店になったり、テレビで紹介されたりすると、行列ができて、マニアックなメニューがなくなったりってなことになるんだなあ。
話は代わり、日本人は、北海道物産展とイタリアが好きみたい。関西万博でイタリア館が超絶人気になって、その後の美術展も予約が取れない状況であるらしいから、その流れでかもしれないが、阪急百貨店本店のイタリア物産展が混んでいた。
ジェラートでも食べようかな、と思っていたのだが、行列の長さに諦めた。そういう時は、長岡京に本店のあるユニールの阪急梅田支店でコーヒー&アイスを注文して、各種物産展の混雑を上から眺めながら、コーヒーアイスとスペシアリティコーヒーを堪能することになる。
浅煎りでフルーティーな酸味のあるスペシアリティーコーヒーよりも、ガツンと深煎りシティーローストが好きではあるのだけれど、物産展のアイスを並んで買う根性がないから、ユニールのコーヒーとアイスというパターンが続いてしまい、スペシアリティーコーヒーのフルーティーな美味しさがわかるようになってしまった。
日本に持ってきたイタリアよりも、世界評価されてる日本のバリスタっちゃ。そう思いながら、階段の上から物産展の群衆を眺めるのが、ローマの休日風で好き。